ーーーー此処は何処?私……。

ゆっくり誰かが、拘束されている私の目の前に足を進める。


「初めましてかな……?僕の妹だね。言霊符と結界が、使えないように拘束させてもらったよ。」 

「……誰?」

幸太に連れられて、調布の屋敷まで来たのは覚えている。三鈴封水が現れて、そこからは記憶が少し曖昧だ。

誰かの式神と私は話して……。

ーーーーどのくらい眠らされていたのだろうか。手足を動かそうと試みるが椅子に座った形で手足はロープで固定されている。

ご丁寧にロープには、霊力を施してあり簡単には解けない。近づいてくる人物に真っ直ぐに私は瞳を向けた。

近づいてきた人物は、私の頬に触れる。触れられた掌は氷のように冷たい。お人形のように白くて細くて温度のない掌

「……っ、触んないで!」

「礼衣と同じだね、黒い瞳も……黒い髪も……志築を選ぶのも」

そのまま掌で、私の黒髪を梳かすように撫で、にたりと男が嗤った。

ーーーーこの人、どこかで……。

私が礼衣と似てる?礼衣を知ってる? 

さっき妹……って……もしかして。もしかして、この人が?

「……あなた……真、遥……?……そうなの?」 

「そんな名前の時もあったかもしれないね。」

「ちゃんと答えて!」

「……あははは、勇ましいお姫様だね」

真遙は、ふふっと薄く唇を開けて嗤う。