「あっちの私ってちゃんと受け答えできてんのよね?」

「は?何?分身のお前が何喋ってるかまでわかるかよ。どーでもいい」

「ちょっと!幸太!不安になるようなこと言わないでよっ!」

しがみついている手を離すわけにもいかず、思わず幸太の腹部を両腕で締め上げた。

「げっ!馬鹿!お前なっ!……普段から会ってる訳じゃねーんだからさ、兄貴も美雪さんもわかんねーって!」

「普段の私とかけ離れた返事なんてしてたら、どーしてくれんの?!幸太!」

「……うるせーな!ほんっと……」

「え?なによ!」

「当主は、お前の何が良いのかマジで分かんねぇっつってんの!」

「馬鹿っ!そんなんじゃないわよっ!」

私は、何とか言いなさいよと腹を締め付けた。

幸太は、完全無視を決め込むと、更にスピードを上げていく。振り下ろされないように掴むのに必死になってくる。

「ねぇっ!!そういえば幸太バイクの免許いつ取ったのよ!!」

夏宮別邸の裏庭に停めてあった霧矢さんの私物を、幸太が勿論無断で掻っ攫ってきたのだ。

「うまいもんだろ!!一昨日、仮免取ったんだなよな!!」

聞かれて嬉しかった質問なのか、すぐに、得意げな返事が返ってくる。