『珠』を封印する、封印師(ふういんし)して、その血を絶やさぬように、脈々と今日(こんにち)まで、その術は受け継がれてきた。

私は、代々封印師を輩出してきた霊印家の末娘であり、影狩師をどの時代でもいつも側で守り続けたきた霊印(れいいん)家の次期当主。

霊印家が、代々神主を務める千葉県山中の霊印神社の巫女というのが対外的な肩書きだが、
実際は、こうやって秘密裏にやってくる指令に従って、志築と夜な夜な狩りに出ている。

「ふーん。ま、行ってみるしかないね、とりあえず」

再び、風邪ひくよと投げられたカイロを冴衣が受け取ると、志築はコートのポケットに指令書ごと両手をつっこんで歩き出す。

並んで歩くと、身長の低い、私は、志築の肘そこそこが目線だ。こちらに目線を合わせるように少し屈んで私を見ながら、志築が楽しそうに言葉を続けた。

「冴衣、夜の公園って久しぶりだな。影の遊び出す時間だ」

志築は、形の良い唇の端をキュッと引き上げた。