ーーーー育った家は違えど、僕たちの家はどの家も異常だ。
何よりもこの能力の維持、継承に重きを置く。何もかも不自由なく準備される代わりに、不自由な一生を強いられる。
結婚相手もそうだ。親から決められた血筋の良い相手と、より良い霊力を持つ遺伝子を遺すことを求められる。
そうやって掟に従って育てられ、生きることを刷り込まされる。真遥と礼衣の結婚だって当人同士の気持ち等どうでもいいのだから。
ーーーー自分のただ一人の兄が、唯一心を許していた恋人を殺したという事実。
「アイツ……しんどいだろうな」
僕は、何も言えない。志築様は、どう自分を押し殺してその現実を飲み込んだんだろうか。飲み込んだはいいが、いくら心と身体が拒否しても吐き出すことが、できなかったんじゃないだろうか。
「志築はさ、自分を甘やかすことなんて全く出来ない奴だから。そもそも多分誰からもちゃんと甘やかされた事がないからさ、当然と言えば当然だけどな……」