「何笑ってんだよっ」

「言えんじゃん」

「っ……何が?」

「……しんどいならしんどいって言えばいいんだよ。何のために俺らがいんの?お前の為なら何だってしてやるよ、お前の願いなら叶えてやるから。殺したいなら殺してやる。だからお前は見てろよ。俺らをもっと使えばいいんだ」

ーーーーお前は壊れなくていい。汚れるな。

俺は、ゆっくりと志築の手を引いて起き上がらせる。

「……手上げて悪かった、頭冷やしてくるよ。お前も少し休め、まだ接触まで時間あるから。昨日も……あまり眠れてないだろ」

「志築様、冷やすものを持って参りますので。」

先に融が、部屋を出て行った。  

顔を背けたまま、こちらを見ようとしない志築に背を向けてドアノブに手をかける。

「……康介……悪かった」

志築から発せられた言葉は、叱られた子供みたいに小さな声だった。

「今夜の狩りは長い……ちゃんと仮眠しろよ」

俺は、ゆっくりとドアを閉めた。

初めて志築を殴った、俺の左掌は、まだジンと熱を帯びていた。