「お前にっ!俺の何がわかんだよ!偉そうに説教してんじゃねぇよ!どけよ!」

志築に、振り解かれないように、手首を掴む両手に更に力を込める。

「わかんねーよ!お前が言わねーから!!」

「離せよっ!」 

志築が、霊力を込めようとする度に、自身の霊力で消化させる。それを繰り返していく、

「志築!わかんねーから言えっつってんだよ!融も同じだ!霧矢も幸太も、冴衣ちゃんもだ!……お前が抱えてるもん、もっと吐き出せよ!お前だけで持つからしんどくなるんだろ!」

「うるせぇ!黙れっ!離せっ!」

「志築っ!ちゃんと言ってみろよ!」

「俺に!何言えって言うんだよっ!」

「お前のことだろ!甘えんな!」  

一瞬、志築の目が見開かれた。俺の目を暫く見ていた、志築は、肩で息をしながら、ふいと顔を背けた。

「……わかんねぇ!……自分でもわかんねぇんだよ!どこからおれで、どこからしんどいのか、もうわかんねぇんだよっ!」  

互いの呼吸音だけが聞こえ、少し落ち着いてきた志築を眺めながら、志築の手首を、締め付けていた、自身の手をゆるめた。

両手を振り解こうと散々暴れた、志築が、ようやく大人しくなると同時に、俺はふっと笑った。