「志築!わざわざ霊力まで込めることかよ! いいかげんにしろよ!ガキかよ!」

「お前に!真遥(まはる)は関係ねーだろ!」

バリバリッと霊力のぶつかる音と共に反発が、きて互いの手を勢い良く振り払い、そのまま、志築の右拳が俺の顔面を狙う。

「……ちっ!」

俺は、右掌で志築の拳を受けると、そのまま左掌で、志築の頬を思い切り殴りつけた。

まさか、俺に殴られるとは思ってなかった志築は、殴られた衝撃で床に倒れ込んで両手をついた。

「康介様っ!」

「融は、黙って見てろ!」

俺は、志築を庇うように駆け寄った融を一喝した。

「……っ!痛ってぇな!ふざけんなよ!」  

切れた口元を腕で拭い、立ちあがろうとする志築に、俺は馬乗りになり、両手で志築の手を強く掴んだ。

「志築!聞けよ!……いいか、お前はお前が思ってる程、強くない!能力のこと言ってんじゃない、お前の精神面のことを言ってんの!お前は人殺せるような器じゃねぇんだよ!お前は、人殺したら変わっちまう!」