俺は、うんざりとした顔で大きな溜息をついた。

(さて、どうしてやろうか)

夏宮家は五人兄弟だ。本来ならば、長男が、当主になるのがセオリーだが、現当主の夏宮収蔵(なつみやしゅうぞう)氏は、当主の座は、実力で決めると日頃から後継争い……もとい兄弟喧嘩の絶えない子供たちを集め、話したそうだ。

確かに、年子の、この二人は、顔を合わせば喧嘩ばかりだ。

この場に来ていない、下の三人も、年子だが、収蔵氏の後妻との間にできた、子供達と言うこともあり、まだ三人とも中学生。この下三人の兄弟中も良いとは言い難く、屋敷で会えば、歳の差及び実力差関係なく、霧矢や幸太にまで噛み付く始末らしい。

誰にも聞こえないほどの、小さなため息と共に冴衣も呆れている。

コイツらの兄弟喧嘩はもはや、会議の恒例行事のようになっている。何度キツく注意しても、理解力がないのか、止める気がないのか、俺が怒鳴り散らすまで、終わらない。

融が、誰よりも早くそんな俺の心情を察して、なんとか、この座を収めようと、おろおろと口を挟んだ。

「ふ……二人ともその位で止めよう。霧矢も、幸太もさ」