「しかし、志築様…」

「マジで!大丈夫だから。いつもありがとな、融」

労うように融の肩をポンポンと叩いた。

とにかく融にもうこれ以上何も言われなよう、されないように最大限、融を気遣い、(なだ)めるように穏やかに言葉を紡いだつもりだ。

「……承知、致しました」

いささか消化不良ではあるが、志築様にここまで言われてはと、融も素直に押し黙った。

(……融に公衆面前で包帯なんて巻かれてたまるかよ。)


一先ず融を丸め込むことに成功し、口角を上げ、ご満悦な様子の俺を横目に、右側から悪意を持って割って入ってきた穏やかな声の主は、融の脳内状況を、あっという間に、ややこしくした。

「志築、……女にやられたらしいよ。」

「!」

ーーーー思わず突いていた頬杖が、ずり落ちた。

「しっ……志築様!女性遊びも大概にと
先日もお伝えしたばかりでっ……」