「なかなかこういう機会が、ないと会えないな。普段の狩りは、いつも志築とは別だしね」

吐息が、かかる近距離に、志築が抗議の声を上げる。 

「っ!お前なっ、近いんだよ!」

「わざとだよ。久しぶりだから、志築の顔を近くで見とこうと思って」

本気とも冗談とも取れないような口調で、康介が微笑んだ。

「お前な……そーゆうのは女に言ってやれよ」

「あぁ、言ってるよ、勿論ね」

悪びれる訳でもなく、当然とばかり話す康介にさすがの志築も、あぁそうかよ、と呆れている。

「冴衣ちゃんも久しぶりだね。コイツのお守りも大変でしょ」

「……まぁ」

志築と、ほぼ同じくらい高身長の康介を見上げるようにして、私は、小さく笑って答えた。

「今日は、俺が志築のお守りするから、冴衣ちゃんは、適当に、会議聞き流して休んでてね」

赤い綺麗な瞳がこちらを見て微笑む。二重瞼に、ルビーが嵌め込まれたような端正な顔立ちに、この喋りだ。この瞳に、見つめられて、ドキッとしない女の子なんているのだろうか。