「ダメ!間に合えばいいなんて、考えは今すぐ捨てて!大体ね、私がいなかったら、志築は、間に合ってない!あと姿勢!ちゃんと歩いてよっ、馬鹿!」

「馬鹿は、余計だろ……マジで頭に響く……」

朝から怒んなよ……と私に聞こえるように、呟きながら、志築が、ダラダラとついて来る。相変わらず、飄々と暢んびりと、自身のペースは、乱さない志築に、イライラが募る。

「さっさと乗って!」

私は、志築の背中を両手で押し込むようにして、エレベーターに乗せ、九階のボタンを乱雑に押す。

少し呼吸を整えながら、閉まりゆく扉に目を移していると、閉まりかける直前で再度ゆっくり扉が開いた。


「あ、ごめん!一緒に乗せてもらえるかな」