「どうせラーメン屋さんの場所、確認したくて私との待ち合わせに遅れてきたんでしょ」

「さぁ、どうだったかなぁ。てゆーかさ、写メ撮ってインスタアップしないと。俺のラーメン情報、フォロワーに大人気なんだよなぁ」

「……へぇ……」

流暢に、自身の誇るラーメン知識の自慢と今から行くラーメン屋の、あれやこれやの知識を嬉しそうに披露する志築には、もはや、呆れて咎める気も失せる。

「髪の毛女に、ほっぺたザックリ切られておいて、よく細長いもの、食べようと思うね」

最大限の嫌味を投げてみたが当の本人は全く気にした様子はない。

「それとこれとは別。美味しいものに罪はないからねー」

穏やかな口調と共に、ニヤリとこちらに向けられた端正な顔は、どこか飄々としていて掴みどころがなく、いつもの志築だった。