(あーっ……クソッ!)

絆創膏なんか貼って出てどーすんだよ。
こんな傷見られようもんなら、お前も怪我なんてするんだーとか何とか、言いながら、関東連合最高議長代理のアイツが嫌味たっぷり揶揄ってくるのが目に浮かぶ。

更には御津宮三分家筆頭、几帳面で忠実な俺の弟分のアイツに、大袈裟に心配され、包帯で頬をぐるぐる巻きにされるかもしれない。

常に兄弟喧嘩の絶えない馬鹿煩いあの兄弟、アイツらを叱りつけるにしても絆創膏なんかしてたら当主としての示しもつかねぇ。   

はぁーっと盛大なため息を俺は吐き出した。

「ちょっと、こっちに向けて吐かないでよ、馬鹿」

「明日を思うと、吐きたくもなるだろっ」

冴衣は、俺を見上げながら、呆れた視線を向けている。どうせガキみたいだと思ってんだろうな。怪我しないことを密かに願掛けにしてる俺のことを。

「冴衣ー、お願いだからさ」

俺は冴衣の腕をつかむと、身体を折り畳むようにしてグイッと左頬を、冴衣の顔近くまで寄せた。