「おい、志築?」

志築は、俺たちを見ながら、腹をかかえて笑ってた。

子供みたいに無邪気に。

思わず、霧矢と幸太の取っ組み合いの手が止まる。
 
「当主?」

「志築さん?」

「志築様?」

「志築?」

ひとしきり笑った志築は、腕を組むと唇の端を持ち上げた。

「だってさ、可笑しいだろ。誰一人欠けることなく皆んな、生きてんだからさ」


ーーーー志築は、そういうと、満足気にニカっと笑った。


子供みたいに純粋な、心からの、ちゃんとした笑顔だった。