「これからもずっと、俺の手元に置いておくから。命令な」

側において泣かせない。

色んなしがらみも色んな思いも全部俺たちの一部だから。

『せまいはこ』の中でも、大切なものはもう何一つだって手離したりしないって決めたから。

俺は、ぐいと冴衣を抱き寄せて、細い身体を包み込むと、冴衣の耳元に唇を寄せた。

「……ちょっとだけ、こうしてて」

暫く黙っていた、冴衣の頭が、こつんと俺の肩に預けられた。

ーーーーもう離さない。

冴衣まで失ってたまるか。

冴衣のぬくもりが心地よくて、俺は、そのまま瞳を閉じた。