冴衣が、眠ってた一ヶ月間、俺は、たまらなく不安だった。

俺が、冴衣を手元に置くのは、ずっと冴衣の中の礼衣を見てるのかとばかり思ってた。

けれど、冴衣が、眠ってる間、俺は、冴衣のことばかり考えて、冴衣だけは生きていてほしくて。どうしても冴衣を泣かせたくなくて。俺のせいなら尚更。

難しく考える必要なんて、なかったのかも知れない。

大事にしすぎて、失ってしまう位なら。


俺は、冴衣の頬にそっと触れた。

「志築?」

「怒んなよ」

俺は、そのまま、ふわりと触れるだけのキスを落とす。

「っ…なっ……」

冴衣が、耳まで真っ赤にして口元を覆った。

「し、志築っ……な、何……」

冴衣が、恥ずかしそうに下から俺を見上げる。

「好きだよ」

「……な……」

「冴衣の笑った顔が」 

意地悪く笑った俺を冴衣が、キュッと目を細めて睨んだ。

「志築の馬鹿っ」

「また怒った」

「馬鹿馬鹿馬鹿!」

冴衣は、頬を膨らませて、俺の胸元をぐいと押し返した。