「俺も使えんの、『融合』、っていっても俺が使える融合は『治癒融合』だけどな……。命媒体にして器を治癒すんの。
ま、簡単に言えば器となる者が、死んだら俺の命と引き換えに生き返らせれるって感じ。
……真遥が居なくなってから、真遥が、読んでた御津宮の蔵の書物全部読んでたからさ。御津宮家に伝わる術は、大体覚えてたんだ。使う、使わないにしてもさ」


ーーーーそこまで聞いた途端、志築の顔が涙でぼやける。

だって、自分の命を媒介にするって。

じゃあ志築は……?


「……なん……でっ!そんな、こと……ひっく……志築が……」

拭っても拭っても溢れる涙で、志築の顔が、見えなくなって両手で顔を覆う。

「お、おいっ、冴衣!……泣くなっ、違う!違うから!こっち向け」

慌てた志築が、両手で私の顔ごと包んだ。

「……な……に。ひっく……志築が……死んじゃ……」

「あー、あのな……俺が、疲れた顔してんのは、お前が、起きないから心配で寝不足なだけ!死にかけてる訳じゃないの、……で、治癒融合はした!……お前に俺の命全部やって、死んでも良かった、てゆーかそうするつもりだった。でもな、マジでギリギリ土壇場で全部お前にやるのやめたの!」