「志……築……私ね……」

両手で志築を少し押し戻すようにして、志築の顔を見た。

そっと右掌で、志築の頬に触れる。体温を感じる。

「夢……じゃないよ、ね?」

久しぶりに見た志築は、少し痩せて疲れた顔をしていた。目が合うと茶がかった瞳がふっと笑った。  

「夢じゃないよ」

「じゃあ、私……どうして……」

記憶が、確かなら自らの命を媒介とした封印術『封魂(ふうこん)()』は成功した筈だ。

それならば、私は真遥と共に消滅して、『珠』になっている筈。

それなのに……。


志築が、唇を持ち上げた。

「お前は死んでない」

「な、んで……」

「……俺が、融合したから」

「……えっ……?」