ーーーーびくんと身体が跳ねたかと思うと、見覚えのない天井がぼんやりと見える。
(…ここ…どこ?)
檜作りの天井に畳の匂い。見知らぬベットに横たわっていた。布団からは少しだけ甘い誰かの匂い。この匂い……。
(……私、死んでない……?)
手足も動くが目に入ったのは両手の包帯……。真遥につけられた傷。
包帯は巻かれているものの傷が、随分塞がっている?痛みが少ない。どのくらいの時が流れたのだろう。
周りが、ぼやけて見えるのは涙のせいだと気づく。腕で乱雑に拭って気怠い身体を両手で支えながら何とかベットから起き上がると、ベッド脇に茶色の頭髪が目に入った。
「……志、築……」
発した自分の声が、ひどく掠れていた。
それだけ眠っていたということなのだろう。
パイプ椅子に腰掛けたまま、長身を折りたたむようにして志築は、静かに眠っていた。
(……私の側に……居てくれてたの?)