ーーーー私は、今、礼衣の夢を見ている。

夢だと思ったのは、ふわふわした感覚と、あたり一面を照らす光が眩ゆくて、遮蔽物は何もなく、キラキラと輝く光の絨毯だけが延々と続いていたから。

夢というより、ここはもしかして天国なのかもと一瞬頭をよぎる。

それならそれでいい。礼衣の後ろ姿を一生懸命追いかけてた。


「……待って!礼衣ー!待って」


すぐ側なのに、なかなか近づかない距離に焦って声を張り上げた。

真っ白なワンピース姿の礼衣が、ふわりとこちらを振り返る。


「……冴衣」

にこりと笑う。大好きな礼衣の笑顔。

「礼衣!」

抱きついたつもりが、するりと礼衣を通りすぎていく。

あれ……。思わず自分の両の掌を見つめた。


「冴衣……。頑張ったね」

「あの……ね、あのね、私……」

「幸せになってね」

ふわりと礼衣の掌が髪を撫でた。

温もりはないが、確かに触れられた感覚と礼衣が、そこに居る満足感があった。

「冴衣……大好き」

にこりと礼衣が笑う。