「僕は……志築様に何一つして差し上げられない」

「そんなん、俺のがもっとしてやれてない。……融、お前のお陰だろ。少なくとも、志築の心は救われた。志築は……誰も殺さなかったから」 

肩を窄めて、泣き出した融の背中をさすってやる。困ったヤツらだ。

こんなになるまで、心をすり減らして、それを隠そうとする。

「なぁ……」

「……っ……はい……」

「一個だけ、お小言言わせてもらうとな、……頑張りすぎんな。お前も志築も。心には限界ってもんがあるんだよ」

人は、抱えられる分量が決まってる。よくも悪くもだ。

それに、確か、融は、まだ二十歳になったばかりだ。

まだ、誰かに甘えていてもいい年頃なのに、家に縛られて、分家筆頭に縛られて、何ひとつ自由のない世界で、コイツは志築の為に、いつも一生懸命だ。