「……真……遥」  


ーーーーゆっくりと目を開ける。

すぐに赤い瞳が、俺を覗き込んだ。身体中が重たい。

「志築?……志築、わかるか?」  


俺の肩を掴んだ掌が、珍しく震えている。コイツのこんな顔は、初めて見たかもしれない。


「……なんて、顔……してん、の?」

康介が、小さく溜息を吐いた。 

「するだろ、お前のそんな姿見たら……そんな顔の一つや二つ……」

康介の左掌が、俺の額に添えれる。


「……オマ、エさー……包帯ぐるぐ、る巻きじゃん」

「お前もな」

呆れたように康介が笑うと、熱下がったな、と手を引っ込めた。


ーーーー疲れた顔だな、多分自分のことなんて最低限で俺の側にずっと付いてたんだろう。ガキ扱いすんなよ。もっと自分を大事にしろよな。

俺は、どうせ、俺のそばから離れない康介に向かって、ため息を一つ吐き出した。