「しづ、かんさつがおわったらにがしてやろう?」

「どうして?せっかくまはるがとってくれたのに」

「このせみをぼくたちとおなじ、せまいせかいにとじこめたくないからさ」

「どういうこと?」

「いや、いいんだ。おにいちゃんが、しづをずっとまもってあげるってことだよ」

そう言って真遥は、満面の笑みで、俺をぎゅうっと抱きしめた。

俺は、真遥の鼓動にひどく安心して、真遥の体温が心地よかった。


セミが、俺たちの周りを一周するとまた高い空へ登って行くのが見えた。


どこで間違えてたんだろうな。


俺は、真遥が好きだった。尊敬してた。

たった一人の、家族だった。