「しづ、あぶないよ、したでまってて」 

「いやだ!きょうはおれもそこまでいく!」

少しでも兄に追いつきたくて、そう言ってみたけど、小さな手にこれでもかと力を入れて伸び上がるがなかなか登れない。

ずるりと落ちては、踏ん張り、またずり落ちながらも少し登ってを繰り返していく。

真遥は、もうかなり先の枝まで登っていた。段々手に力が入らなくなる。支えてる両足も震えてきた。


「まはるー!」

登ることを断念した俺は、助けを求めて真遥を呼んだ。

ーーーー聞こえただろうか。

なんとか足を木の根の間に捩じ込ませて見たが、落っこちるのは時間の問題だった。

今日は、ムキになって真遥を追いかけた分、地面がかなり遠くなってる。


踏ん張っていた足が、ズルッと音を立てたと共に、俺は、地面に向かって宙に浮いた。



……わっ!