(俺……あれ?)
規則正しく左右に揺れる、懐かしい心地よさに目を覚ます。
外の視界は、いつもの自分より少しだけ高くて、あれほど見下ろしたかった、兄貴の頭が、すぐそばに見えた。
ーーーー兄貴に負ぶわれるなんていつぶりだろうか。
「……離せ……お、……ろせ」
咄嗟に口を突いて出たのは、いつもの憎まれ口だった。
「……幸太、起きたのか?頭部打撲に肋骨三本、内臓損傷、右腕の複雑骨折、全治三ヶ月はかかるな。指令復帰まで四ヶ月というところか」
「……う、るせー……」
「封水相手に死ななかっただけでも良しとするんだな」
「なっ……んだよ。……知ってたのかよ」
「あぁ、今回の件に関しては、矢文の時点で俺は、一番先に融に連絡した。そのあとは融の筋書にそって動いたまでだ。あいつは、多少の強引な汚い手も使うが志築さんの為に最善を尽くす奴だ。俺はそこを信用してる。だから乗った。康介さんは、大体気づいていたようだけどな……。それにしても大体、俺にお前の分身とお前の区別がつかないとでも思ったか?」
顔は、見えないまでも、ゆるりと笑っている兄貴の顔が浮かぶ。
規則正しく左右に揺れる、懐かしい心地よさに目を覚ます。
外の視界は、いつもの自分より少しだけ高くて、あれほど見下ろしたかった、兄貴の頭が、すぐそばに見えた。
ーーーー兄貴に負ぶわれるなんていつぶりだろうか。
「……離せ……お、……ろせ」
咄嗟に口を突いて出たのは、いつもの憎まれ口だった。
「……幸太、起きたのか?頭部打撲に肋骨三本、内臓損傷、右腕の複雑骨折、全治三ヶ月はかかるな。指令復帰まで四ヶ月というところか」
「……う、るせー……」
「封水相手に死ななかっただけでも良しとするんだな」
「なっ……んだよ。……知ってたのかよ」
「あぁ、今回の件に関しては、矢文の時点で俺は、一番先に融に連絡した。そのあとは融の筋書にそって動いたまでだ。あいつは、多少の強引な汚い手も使うが志築さんの為に最善を尽くす奴だ。俺はそこを信用してる。だから乗った。康介さんは、大体気づいていたようだけどな……。それにしても大体、俺にお前の分身とお前の区別がつかないとでも思ったか?」
顔は、見えないまでも、ゆるりと笑っている兄貴の顔が浮かぶ。