「逃げ……ろ、志築……」

「康介っ!康介!」

咄嗟に治癒術を施そうとした時だった。

俺の胸元に鋭いものがゆっくりと突き刺さる。

「くっ、ぐ……はぁっ…真遥……お前」 

「はぁ……はぁ……僕の勝ちだね」


俺の身体から刀を抜きながら、真遥が、勝ち誇ったように笑った。


その時だった。

《《真遥の心臓を小さな掌が貫通する》》。


ーーーー見覚えのある、小さな掌。


その、小さな掌から、溢れ出す血液と真遥の血液が、混ざり合っていく。


「サ ク ペイ シャ タラーク マン カ 
霊印の名の元に、魂を鎮め、我と共に封印す
『封魂の儀』今ここに我と共にあれ!」


「ぐっ、お、まえ!……ごとき、女が……


真遥の顔が、歪にぐにゃりと曲がると、そのまま真遥が、膝をついた。


ーーーー冴衣が、掌をゆっくりと真遥から引き抜いた。