ーーーー吐き気がする。

死ぬとわかっていて娘を婚姻させる自分の親も、他人を犠牲にしてまで、高い霊力の継承に拘る御津宮家にも。

その血が、自分にも流れていると思うだけでおかしくなりそうだ。……志築は、知っていたのだろう。ずっと知ってて自分の中に抱え込んでたいたんだろうか。

志築が、私を手元に置くのは……きっと。


「……でもね、失敗に終わったよ。僕は、礼衣とは融合し切れなかった。土壇場で彼女が拒否したからね、……あの女。この僕の器を拒むなんて馬鹿な女……」

「黙って!」

私は、霊力を掻き集めるようにして、真遥にぶつける。

「……っ!」

言葉の途中でわずかな痛みを感じて、真遥が自身の頬に触れる。ねっとりと流れでたの血液を口元を緩めながら眺めた。

「あははははっ。霊力の使い方がうまいな!僕に傷つけるとはね!」

そのまま左掌の指先で、私の右掌を突き刺し貫通させた。