「貴方は生きててはいけない」

「あははっ、神である僕が、生きなきゃ」

「神なんていない!」

「僕は君になるんだ、神そのものにね。そして君は僕になる。今度こそ失敗はしないよ」

狂気に満ちた眼に飲み込まれそうになる。身体中が震えて、真遥の全てを拒否している。

(器……?先程、真遥は、器、と口にした……)


「貴方……礼衣と……融合しようとしたのね……礼衣と」 


自分の声とは思えないくらい、酷く冷静で心を失った声だった。怒りと悲しみで心が黒く染まっていく。

「……そうだよ、知ってたんだ?……僕があの母さんから、唯一僕だけが貰ったもの。……母さんと同じ病気だよ」

ーーーー『融合』は御津宮家の者でも限られた者にしか使えない秘術のひとつ。

どんなに優秀な強い霊力があろうとも、私たちは人だ。人間であれば誰とて病に侵される可能性はあり得るのだ。

より強い優秀な霊力を持つ者が病に侵された場合、その優れた遺伝子を後世に残すため、病に侵された者を別の器へと入れ替える。

器の魂と引き換えに。