ーーーーコツコツコツと靴の音がこちらに向かう音で目を覚ました。

あの後、私は術で再び眠らされていたようで気がつくと十字型の柱に両腕と腰を縛られている。

口の中には、布のようなものが入れられて声は出せない。柱の向こうからは私を後ろから、照らすようにアーチ型のステンドグラスの窓から月明かりが、差し込んでいた。

意識が、朦朧とするのは何かの術をかけられているからだろうか?


「……イエスキリストが、最後に死んだ時を知ってるかな?」 

ぐいと顎を掴まれ、真遥の銀色の瞳に自身の顔が映り込んだ。私は、その瞳をこれでもかと睨み上げた。

みるみる真遥の顔が怒りに満ちたのがわかった。

「……なんて、眼だっ!」

左頬が、鳴ったかと思うと、口の中に血の味が広がる。

「僕はその眼が大嫌いだよ。その何の汚れも知らない綺麗な瞳に虫唾がはしる!」

再度、今度は右頬が鳴る。力いっぱい殴られて一瞬意識が遠のいた。

口の中の布から、血が溢れ出るのがわかった。