「うん、僕の式神から、冴衣様の式神に伝言を預けておいたから、恐らく状況は理解されているよ。式神同士は誰にも悟られずにやり取りできるからね。封水の件も終わったよ」 

「はっ…あ、あいつ、死な…ねーかな?」

「……冴衣様が志築様の為にどの決断を選ばれるのかはわからない。……ただ、志築様はそれを許さないでしょうね」


ーーーーそう、だからこそ騙すような手を使ってまでして冴衣様に決断を委ねた。

志築様は、冴衣様に関しての決断はできない。
冴衣様を、危険に晒す、その選択肢はないのだ。

どうしたって、冴衣様を手放せないのだから。

だが、真遥様を葬る機会は、最初で最後だ。志築様を長年蝕んでいたモノの元凶を、断たねばならない。志築様の心の闇を、少しでもお救いしたいと願うのは、僕の傲慢だろうか。

「……冴衣様ほどではないけど、簡単な応急処置術は施しておいたからね。……もうすぐ迎えが来るから、僕は志築様の所に向かうね」 

「……迎え……?」

「お兄ちゃんの言うこと、たまには聞くんだよ」 

「お兄ちゃん……?」

僕に身体を預けると、幸太は、再び意識を失った。