◆夜
お風呂あがり、兄さまがふれたいって言ってきた。
消とう時間はすぐそこだったけど……。
兄さまはタイミングをねらっていたみたい。
いいよって言ったら消とう時間後、ソファーでキスしたし、かみつかれた。

首、肩、うで、いっぱいかまれた。
本気でかまれたし、手かげんのかみつきもあった。
この前とチガうのは、兄さまが注意ぶかく、おれの反応を見ていたこと。
少しでも反応があったら、そこをたくさんかんできたし、なめてきた。

やっぱり耳がイチバンよわくて、かまれても、なめられても、カラダがはねた。
がんばって声をがまんしたけど、それを見た兄さまがすごくいじわるになった。
ずっと耳ばっかりかんでくるようになった。

声が出そうだから、そろそろやめてって言ったんだけど……。
兄さまは「出せばいいじゃないか」って言ってきた。
でもお母さんみたいに、うるさくなるのはヤダしなぁ。
あとカラダが熱いって言ったら、「感じてるんだな」って言われた。

こうなったらおれも耳をこうげきしてやる!
そう思って、兄さまの耳にかみついた。なめた。声を出させてやろうとがんばった。
なのに兄さまから「くすぐってぇ」って笑われた。

もっと、もっと何かあると思ったのに!

兄さまいわく「那智のせい感たいは、耳なんだろうな」だって。
人によって感じるところチガうんだってさ……。
ずるい。おれも兄さまに感じてほしい。
そう言ったら、兄さまがもう感じているって言ってきた。

「那智が兄さまの手で感じる、それが最高にこうふんする」って。

兄さまは本当にうれしそうだったし、しあわせそうだった。

けっきょく、声が出るまで耳をかまれた。
さいごに息できなくなるキスして、ふれあいはおわり。
ただ兄さまは少し物足りなさそうにしていた。
退院するまでは、これくらいにしておく、だって。

がまん……しなくていいのに。

兄さまは優しいから、おれのカラダを気づかってくれたんだろうな。


ごめんなさい兄さま。
はやく退院できるようにがんばります。

そして今日はいっしょにいてくれて、本当にありがとう。
すてきな、いちにち、だった。