その道を外してしまえば、せっかく努力して入った大学や勝ち取った生活が失われてしまう、と益田。

 昼間のように訳も分からない連中に突っかかっても自殺行為。人生を棒に振るだけだと言って、俺に釘を刺してきた。よほど昼間の俺に思うことがあるようで、「ありゃ坊主が泣くぜ」と言って、今後は感情を自制するよう忠告してくる。

 そんなことを言われてもな。

「向こうから振ってきた喧嘩だ。俺はそれを買っただけだ。狙いは俺だったみてぇだし……まともって言われてもよく分からねえよ。俺は手前がまともじゃねえ自覚を持っている」

「坊主に対して、ちと愛情の上位互換を抱いているだけだろ? おいちゃんには分からない世界だが、当事者同士が良けりゃそれで良いんじゃねえか? それ以外は他人に興味がねえだけで、お前さんはまともだよ。ああ、ラーメン屋のラーメンの味も知らねえガキだけどな」

 ……この野郎。まだ弄ってくるか。

「努力家の自分を誇れよ兄ちゃん。お前さんの積み重ねていた努力は、誰にも真似できねえんだからな」

 そして急に褒めてきやがる。なんだよこのオッサン。

「お、下川の兄ちゃん。そこにケーキ屋があるが寄るか? 坊主に土産が欲しいんじゃねえの?」
「お前に言ったか?」
「うんにゃ。そういうツラしてる。捻くれだが、お前さんも坊主に似て、素直だからなぁ」
「はあ?」
「照れるな照れるな」

 やっぱり益田って男は苦手だ。
 見返りを求めず、可愛くねえ態度ばっかり取る俺を子ども扱いにして、からかってきたと思ったら大人を利用しろ、なんざ言いやがる。

「土産分くらいまではおいちゃんが出してやるか。坊主にわりぃことしたしな。ああ、でぇーじょうぶ。お兄ちゃんの分も奢ってやる。拗ねるなよ」

「……てめぇ、一発殴っていいか?」

 運転席に座る男に睨みを飛ばす。
 ちゃっちい俺の反抗的な態度なんてもろともしない益田は、始終俺の態度に笑っていた。本当に苦手だよ。お前のこと。まじで一緒に行動したくねえ。