はてさて。

 妙ちきりんな連中は警察の御用。
 とんだ目に遭った俺は問答無用で益田達と署に同行する羽目になった。
 一刻も早く帰りたい気持ちでいっぱいになったが、警察はちっとも俺を放してくれねえ。傷を負った左手を手当てした後は、事務的な事情聴取と書類を書かされた。言葉にすると簡単だが、それだけで夕方まで掛かった。勘弁しろよまじで。

 連中の正体や動機は日を改めて捜査、俺に連絡が入ることで終わった。

 やっとのことで解放されると思っていたら、今度は益田に捕まった。
 声を掛けられた当初は病院まで送る、という話だったのに、なぜか俺は益田に連れられてラーメン屋へ連行された。同行じゃねえ。文字通り連行された。
 二人席に座らされた俺は眉をつり上げながら、メニューを眺める益田を睨む。

「兄ちゃん。味噌ラーメンと炒飯でいいか? 餃子もあるぜ」
「……おい益田。なんでラーメン屋なんだよ」
「ここのラーメン屋は指折りだ。味は保証する」

 ばかやろう、そうじゃねえよ。

「警部さま。能天気に被害者と飯を食う趣味なんてあるのか? 普通あり得ねえだろう」
「上が知ったらカミナリだけじゃあ済まないだろうなぁ。現場の声なんざ、ちっとも聞いちゃくれねえくせに」

「俺は帰りたいんだが」
「食ったら帰る。それでいいじゃねえか。昼飯抜きにしちまったんだ。奢ってやるよ」

「……那智抜きで外食なんざ」
「坊主は病院で飯が出ているんだろ? 大丈夫だろ」

 有無言わさず、益田は俺の分と合わせて味噌ラーメンと餃子を注文する。
 今すぐにでも店を出て、ひとりで帰ってやりたいが、さすがに病院までの道のりが遠い。タクシーで帰るだけの持ち合わせはない。くそ、なんでこうなった。