ーーーーピンポーン

翌朝、インターホンが鳴り、私は覗き穴からみて、小さく溜息を吐き出してから、玄関扉を開けた。そこには、いつものように、白いワンピースを纏った、美穂子が立っている。

「何かしら……?」

いつもの美穂子に見えるが、その空気は、どこかいつもと違うように感じる。ジリジリとコチラを追い詰めていくような、いいようのしれない圧迫感を感じながらも、私は精一杯微笑んだ。

「里奈さん、どうして?」

「え?」

彼女は、くすりと笑うと、私に紙袋を渡した。中を覗き込んで、思わず私は、その紙袋をバシャッと玄関先に落とす。

「サイズピッタリだったでしょ?」

散らばった白いスウェットを拾い上げると、美穂子は、私に紙袋を再び手渡した。

鳥肌と共に、足がガクガクと小刻みに震える。

「ゴミ……見たの……?」

「えぇ、里奈さん越してきて間がないから、ゴミの分別ができているか、何となく、気になっちゃって。このスウェットは、間違えて捨てちゃったのよね?」

美穂子の顔は、笑っているが、目は笑ってない。

「どうして……こんな事」

「え?お向かいさんじゃない。遠慮しないでよ」

私は、ぎゅっと拳を握りしめた。