「身に着けるもので気持ちが変わりますからね。
小さなアクセサリーでも幸せのお手伝いが出来て光栄なことです」
確かにリンファスも、ハンナが用意してくれた洋服を着ていると、村で抱いていた鬱々とした気持ちと少し違ってきたと思う。
「ねえ、リンファス。良かったらリンファスもリボンを買わない? 私が結んであげるわ」
プルネルが良いことを思いついた、とでも言うように微笑んで手を叩いた。
リンファスは驚いてプルネルを見る。
「来週の茶話会、一緒に出ましょうよ。その時に、お揃いのリボンをするの。悪くない提案だと思うわ。だって気分が変わるもの」
にこにこと嬉しそうなプルネルに、そう言うものだろうかと疑問を持つ。
しかし、村に居た時よりも今の方が格段に前向きな気持ちになっていることを自覚して、リンファスはプルネルの提案に頷いた。
「……そうね、プルネル。私、リボンを買ってみるわ」
リンファスの言葉にプルネルはとても喜んでくれた。
結局ルロワの店でリボンも色違いで買い、二人ともリボンを包んでもらった。
包んでもらった包みを持つと、確かにそれは『小さな幸せ』というものかもしれなかった。
ハラントが手綱を持つ馬車に乗って館へ帰る道すがら、プルネルは楽しそうに話した。
「今度の茶話会で、この前舞踏会で会ったアキムとルドヴィックを改めて紹介するわ。二人とも気のいいイヴラよ。
二人とも紳士である上に剣術も強いのですって。私、茶話会で時々彼らとお話するの」
「……プルネルはあの方たちのこと、好きなの……?」
ハンナは、花乙女は愛されて幸せになる為に居るんだと言っていた。
プルネルは彼らに愛されて幸せなのだろうか。
プルネルは、ふふ、と微笑んで、お友達よ、と言った。
「友達……」
では、プルネルの体に咲いている彼らの花も『友情』の花なのだろうか。
彼らの目の色の花は、リンファスがプルネルからもらった『友情』の花とは、少し形が違う。
「……そうね……。昔、私の幼馴染みがくれた、『親愛』の花の形に似ているわね」
「……『親愛』……」
おうむ返しに呟くと、プルネルは、そう、と応えた。
「あの頃、特別に親しかったの。
その頃の私は、まだあまり友達も居なかったから、彼のことをとても大事だと思っていたわ。
そういう、特別な友情の事ね……」
そうなんだ……。
人の気持ちはいろんな形に反映されて乙女に咲くんだな。
そうやって、花乙女は愛されることに自信を持って行くのだろうか。
そう呟くと、プルネルはやあね、と苦笑した。
「愛されることに自信を持てる人なんて、きっと一握りの人だけだよ。
多分、恋をして、そしてその相手の方に恋われて初めて自信が持てるんだと思うわ。
だから両想いになった花乙女は幸せね。ケイトのように、その身に愛の証の花が咲き誇るんですもの……」
夢見るようなまなざしでプルネルが言う。
きっとケイトは館の花乙女たちの憧れの存在なのだ。ケイトみたいに想われたいと思って、日々花を大事にしている。
食事の時だって、乙女たちは嬉しそうに花を食べている。自身に寄せられる愛情を糧に美しくなる乙女たちは素敵だ。
リンファスも、そんな風になれるのだろうか。
「なれるわ。だって、それが花乙女なんですもの」
にこりと微笑んでプルネルが言う。
リンファスも、胸に咲いた小さな花たちを大事にしていこうと心に誓った。
小さなアクセサリーでも幸せのお手伝いが出来て光栄なことです」
確かにリンファスも、ハンナが用意してくれた洋服を着ていると、村で抱いていた鬱々とした気持ちと少し違ってきたと思う。
「ねえ、リンファス。良かったらリンファスもリボンを買わない? 私が結んであげるわ」
プルネルが良いことを思いついた、とでも言うように微笑んで手を叩いた。
リンファスは驚いてプルネルを見る。
「来週の茶話会、一緒に出ましょうよ。その時に、お揃いのリボンをするの。悪くない提案だと思うわ。だって気分が変わるもの」
にこにこと嬉しそうなプルネルに、そう言うものだろうかと疑問を持つ。
しかし、村に居た時よりも今の方が格段に前向きな気持ちになっていることを自覚して、リンファスはプルネルの提案に頷いた。
「……そうね、プルネル。私、リボンを買ってみるわ」
リンファスの言葉にプルネルはとても喜んでくれた。
結局ルロワの店でリボンも色違いで買い、二人ともリボンを包んでもらった。
包んでもらった包みを持つと、確かにそれは『小さな幸せ』というものかもしれなかった。
ハラントが手綱を持つ馬車に乗って館へ帰る道すがら、プルネルは楽しそうに話した。
「今度の茶話会で、この前舞踏会で会ったアキムとルドヴィックを改めて紹介するわ。二人とも気のいいイヴラよ。
二人とも紳士である上に剣術も強いのですって。私、茶話会で時々彼らとお話するの」
「……プルネルはあの方たちのこと、好きなの……?」
ハンナは、花乙女は愛されて幸せになる為に居るんだと言っていた。
プルネルは彼らに愛されて幸せなのだろうか。
プルネルは、ふふ、と微笑んで、お友達よ、と言った。
「友達……」
では、プルネルの体に咲いている彼らの花も『友情』の花なのだろうか。
彼らの目の色の花は、リンファスがプルネルからもらった『友情』の花とは、少し形が違う。
「……そうね……。昔、私の幼馴染みがくれた、『親愛』の花の形に似ているわね」
「……『親愛』……」
おうむ返しに呟くと、プルネルは、そう、と応えた。
「あの頃、特別に親しかったの。
その頃の私は、まだあまり友達も居なかったから、彼のことをとても大事だと思っていたわ。
そういう、特別な友情の事ね……」
そうなんだ……。
人の気持ちはいろんな形に反映されて乙女に咲くんだな。
そうやって、花乙女は愛されることに自信を持って行くのだろうか。
そう呟くと、プルネルはやあね、と苦笑した。
「愛されることに自信を持てる人なんて、きっと一握りの人だけだよ。
多分、恋をして、そしてその相手の方に恋われて初めて自信が持てるんだと思うわ。
だから両想いになった花乙女は幸せね。ケイトのように、その身に愛の証の花が咲き誇るんですもの……」
夢見るようなまなざしでプルネルが言う。
きっとケイトは館の花乙女たちの憧れの存在なのだ。ケイトみたいに想われたいと思って、日々花を大事にしている。
食事の時だって、乙女たちは嬉しそうに花を食べている。自身に寄せられる愛情を糧に美しくなる乙女たちは素敵だ。
リンファスも、そんな風になれるのだろうか。
「なれるわ。だって、それが花乙女なんですもの」
にこりと微笑んでプルネルが言う。
リンファスも、胸に咲いた小さな花たちを大事にしていこうと心に誓った。