(この花があれば、舞踏会に行ける……?)

イヴラの花を身に着けてないと舞踏会には行けない、とケイトは言っていた。
この花がイヴラの花ならば、舞踏会に参加できるのではないか。リンファスはそう考えた。花乙女の役割を果たす為に、イヴラと会って、愛されるように努力をしなければならないのではないか。そう思った。

今もお腹を刺激するような甘くておいしそうな香りが鼻腔の奥を刺激しているけど、この花を贈ってくれた花の主に会って、謝罪と謝意を伝えなければならない。そう思って、食事を終えたというのにぐうぐう鳴るお腹をぐっと我慢して、リンファスはプルネルに花が着いたことを報告しに行った。

プルネルはリンファスに花が着いたことを喜んでくれた。

「素晴らしいことだわ。是非明日一緒に舞踏会に行きましょうよ。きっと花を贈ってくださったイヴラの方も参加されるわ」

「明日一緒に行ってくれる? プルネル」

一人で参加するのが心細くてそう問うと、プルネルは、勿論よ、と嬉しそうに微笑んだ。

「楽しみだわ。貴女に花を贈ってくださったイヴラはどんな方なのかしら。そう考えるだけで、私眠れなくなりそうよ」

「会えるかしら」

「会えるわよ。だって、その方は、リンファスを良いと思ったから、花を贈ってくださったんだもの。お会い出来たらこっそり教えてね」

プルネルが右の小指を差し出してきたので、リンファスもその小指に自分の小指を絡めた。

「プルネルが一緒に行ってくれると言ってくれて、勇気が出たわ。茶話会では結局ぼうっと見てしまったから、今度はしっかりしないと」

「ふふ、頑張ってね」

励ましに、ありがとう、と応える。リンファスも、興奮で眠れなくなりそうだった。