その後、佐由良も住吉仲皇子(すみのえのなかつおうじ)が家臣に裏切られて殺された事を知った。

 必死で無事を祈っていたが、その願いは結局叶わなかった。
 彼女も住吉仲皇子の死を目にし、とても悲しんだ。そして同時にこの事は佐由良が前に見た光景通りとなってしまった。

「あの光景は、少し先の未来の出来事だったって言うの」

 佐由良は勾玉の首飾りを見た。

「まさかこの首飾りが見せたものなの?」

 佐由良はひとまずこの事は誰にも言わないでおこうと決めた。

「と言う事は、最初に見た幻も瑞歯別皇子(みずはわけのおうじ)だったって事」

 とりあえず住吉仲皇子が亡くなった事により、佐由良の今後がどうなるかがまだ分からない。まずは今目の前の現実をしっかり見ないといけない。彼女はそう思う事にした。