「仕事ができて出世できる人になりたいんですよね」
新入社員の男がバーテンの神酒に相談する。
「どうしてですか?」
「女性にもてるし、将来有望ならばお金に困ることもないでしょ」
「たしかにそうですね。では、出世できるカクテルをお作りしましょうか?」
「まさか、そんなカクテルあるわけないですよね」
「ここは、ちょっと特別なお店なので本当に作ることは可能です」
「出世カクテルおねがいします」
「かしこまりました。ゴールデンアップルをお作りしますよ。ベースは金色です。ゴールドはお金の金であり、金メダルの金は1番を意味します。つまり、1番になることが可能なカクテルですよ」
出されたカクテルはゴールドに光るまさに黄金色のカクテルだった。そして、ふちにはりんごが添えられていた。まるで黄金にとりつかれたかのようなカクテルは見た目も珍しく、美しい色合いだった。
「いただきます」
出世するなんて、これっぽっちの期待もしていない男に変化が訪れたのは翌日からだった。嘘のように仕事舞い込み、なぜかうまくいってしまうのだった。要領が悪いはずの男だったのが嘘のように、愛想がある方でもコミュニケーション力があるほうでもない男が、人に信頼され、仕事を任されていくという不思議な現象が起きていた。目の前の大きな仕事を目の前にして彼は同僚の嫉妬の気持ちに気づく余裕はなかった。
♢♢♢
「今頃、彼は出世街道まっしぐらで忙しく仕事をこなしているでしょうね」
「でも、ゴールデンアップルという名前から、彼はそんなにうまくいかないんじゃないですか?」
「神話では色々な罠が潜んでいたりしますが、ここは人間の社会ですよ。人間らしい罠が潜んでいるかもしれません。例えば、嫉妬を持つものが彼を陥れようとするかもしれません。一生安泰だとかどこまで出世できるかは本人次第で、カクテルの力だけでは保証できませんがね」
「本当に不思議なカクテルを創作されますよね。勉強のために世界でたった一人の創作バーテン資格を持つあなたに弟子入りしたわけですけどね」
「カクテル一杯の力で人生を変えてしまう仕事は恐ろしくもありますが、幸せにするお手伝いをするつもりで創作しています。人間は愚かです。出世や称賛される人がいる一方で嫉妬心に火が付くこともあります。その火に気づかないと思わぬ油断で足元をすくわれたりするんですよね」
新入社員の男がバーテンの神酒に相談する。
「どうしてですか?」
「女性にもてるし、将来有望ならばお金に困ることもないでしょ」
「たしかにそうですね。では、出世できるカクテルをお作りしましょうか?」
「まさか、そんなカクテルあるわけないですよね」
「ここは、ちょっと特別なお店なので本当に作ることは可能です」
「出世カクテルおねがいします」
「かしこまりました。ゴールデンアップルをお作りしますよ。ベースは金色です。ゴールドはお金の金であり、金メダルの金は1番を意味します。つまり、1番になることが可能なカクテルですよ」
出されたカクテルはゴールドに光るまさに黄金色のカクテルだった。そして、ふちにはりんごが添えられていた。まるで黄金にとりつかれたかのようなカクテルは見た目も珍しく、美しい色合いだった。
「いただきます」
出世するなんて、これっぽっちの期待もしていない男に変化が訪れたのは翌日からだった。嘘のように仕事舞い込み、なぜかうまくいってしまうのだった。要領が悪いはずの男だったのが嘘のように、愛想がある方でもコミュニケーション力があるほうでもない男が、人に信頼され、仕事を任されていくという不思議な現象が起きていた。目の前の大きな仕事を目の前にして彼は同僚の嫉妬の気持ちに気づく余裕はなかった。
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「今頃、彼は出世街道まっしぐらで忙しく仕事をこなしているでしょうね」
「でも、ゴールデンアップルという名前から、彼はそんなにうまくいかないんじゃないですか?」
「神話では色々な罠が潜んでいたりしますが、ここは人間の社会ですよ。人間らしい罠が潜んでいるかもしれません。例えば、嫉妬を持つものが彼を陥れようとするかもしれません。一生安泰だとかどこまで出世できるかは本人次第で、カクテルの力だけでは保証できませんがね」
「本当に不思議なカクテルを創作されますよね。勉強のために世界でたった一人の創作バーテン資格を持つあなたに弟子入りしたわけですけどね」
「カクテル一杯の力で人生を変えてしまう仕事は恐ろしくもありますが、幸せにするお手伝いをするつもりで創作しています。人間は愚かです。出世や称賛される人がいる一方で嫉妬心に火が付くこともあります。その火に気づかないと思わぬ油断で足元をすくわれたりするんですよね」