自身の現状をとりあえず受け入れたクラウスは、元の体に戻るまでペトラを万一にも傷つけないよう行動しようと決める。
 しかし身に覚えのない悪評がどんどん出回っていく。冤罪を訴えようにも婚約者=自分は信じようともしない。
「バカかオレは!」
 そう、そこでようやくクラウスは気づいた――エリーザベトも、こうやって陥れられたのでは?と。
 心を入れ替えたクラウスは、アホな自分とかつてな友人たちに心が死にそうになりながら、婚約者への贖罪のためにも事の真相を突き止めるために動き出す。
 こうなると俄然怪しいのはペトラだ。何故ありもしない虐めをでっち上げたのか。
 クラウスは侍女カタリナに全てを明かし、調査に協力してもらうことに。
 調査を進めていくと、ペトラが敵国リーリア皇国の工作員であり、妹を人質に男爵家に働かされていたことや、男爵家の主家たる北の公爵家が、皇国と通じて王国乗っ取りを計画していることがわかってくる。エリーザベトが陥れられたのも、全ては王国乗っ取り計画の邪魔になる彼女の父を排除するための布石だったのだ。
 婚約者の死の危機どころかこのままでは亡国の危機だ。
 
 そう理解すると再びの目眩。
 気がつくと彼は『自分の姿で』卒業パーティの日に臨んでいた。
 
 婚約破棄の予定があったパーティで、クラウスはエリーザベトの悪評は全てでっち上げられたものだと彼女を庇う。そして、パーティを終えてすぐに北の公爵の裏を調べ上げ、亡国の危機を回避する。
 君を信じられなくてすまなかったと深く謝罪したクラウスは、その後エリーザベトと結婚。
 
 そして彼は――自らの愚かさを悔い改め、婚約者を助けるための『奇跡の時間』を与えた神の伝説を体験したとして、
 歴史に残る王となったのだった。