⚫3話
 優秀な彼は令嬢らしい振る舞いにすぐに慣れ、違和感を覚えられることも減った。自分は『前の』彼女と違い冷たい振舞いをしているつもりはないのに、きつい態度の令嬢だと誤解されてしまうことが多いのは不満だったが。
 それでもペトラと少しずつ会話をしていき、親しくなっていくクラウスは、概ね幸せな時間を過ごしていた。
 ある日、クラウスは二人で学園を歩くペトラと、この時代の自分に出会う。
 
 やはり、ペトラと俺は似合いじゃないか?
 
 機嫌よくそう思いながら二人に「ごきげんよう」と挨拶をするクラウス。
 すると『自分』はなぜか冷たい眼差しを向けてきて、しかも「なんだお前か」と冷めた言葉を吐き捨てた。
 何だこの態度は? と、クラウスは一瞬目が点になる。