街はずれに、高い塀に囲まれた無機質な白い建物がある。国が管理する施設だということは知っていたけれど、まさかここが収容所だとは思いもしなかった。いつ通りかかっても何の気配もなく、施設として利用するにしてはこぢんまりとしていたからだ。

 警官から係員に引き渡され、収容所に足を踏み入れても、印象は全く変わらなかった。施設内はしんと静まり返り、人の気配はない。ロボットすらも見当たらなかった。いるのはわたしと、わたしの前後を歩く係員の人型ロボット二体のみだ。

 長い廊下の手前にある小部屋で身体チェックをされたあと、白くて清潔な服に着替えた。その隣の部屋で全身をくまなく除菌され、次に案内されたのは巨大な装置がある部屋だった。

 何の装置なのか想像もつかない。説明もない。質問することも許されていない。巨大な装置に押し込まれたところでようやく、分厚いガラス越しに説明を受けた。たった一言「動くな」と。

 装置の扉が外側からロックされ、人型ロボットがいくつかのボタンを押し、いくつかの操作をすると、床からは地鳴りのような低い音が、天井からはモスキート音が聞こえ始める。人型ロボットはそのまま、部屋から出て行ってしまった。