夢花の、今にも壊れてしまいそうな、傷ついた顔が瞼の裏に浮かび上がって、心臓が破れそうになった。
「ああっ……ごめ……っ、ごめんなさい……夢花ぁっ……」
 私は、夢花の真剣な気持ちに対して、開口一番、“なんで”と言った。
 最低だ。夢花をハブにしたクラスの人たちと、何ら変わりない。
 私は、人の気持ちを想像できない、最低な人間だ。
 夢花は、私だからきっと打ち明けてくれた。
 私だから、何度も何度も悩んで、抱えていたことを告白してくれた。
 想像を絶する覚悟を持って。勇気をだして。
『粋、大丈夫。分かってるよ。答えが欲しいわけじゃなかったの』
 あのとき、粋はどんな表情をしてた? 自分のことばっかりで、何も覚えていない。
 私は……、本当に、取り返しのつかないことをした。
「ごめんなさい、ごめんなさいっ……! 夢花ぁ……っ」
 私みたいな人間は、一生誰かを好きになる資格なんて、ない。
 激しい罪悪感の中、そのことだけがはっきりとしていた。
 この先、どんな不幸が訪れても、私は受け入れる。
 こんな私には、神様からどんな罰がくだってもおかしくないはずだから。
 十四歳の夏。私は大きな十字架を背負って、これからを生きていくことを誓ったのだ。