亜由は、リビングの時計を何度も確認する。生きてきて、これ程までに時間を気にしたことがあっただろうか。鼓動は、和樹が帰ってくる時間が迫るたびに、より速度を増していく。
(19時、あと1時間程で和樹が帰ってくる時間だ)
今日、花火屋から受け取ってきた紙袋が、台所の隅の玉ねぎが、置いてあるボックスの横に見えないように隠してある。
我が家は、極端にモノが少ない。神経質で嫉妬深い和樹は、帰宅するとすぐに、物の移動、場所を細かくチェックする。
台所は、日常的に使うため、和樹のチェックは緩い。だから紙袋は、台所に隠そうと亜由は決めていた。
いつもより、早く、ガチャリと玄関扉の開く音がして、亜由の身体が、大きくビクンと跳ねた。
「ただいま、亜由?」
「早かったのね、おかえりなさい」
亜由は、慌てて玄関へと駆けていく。
「手洗ってくるわ」
「うん、これ預かるね」
亜由は、最大限の笑顔を作って、洗面台へ向かう、和樹から、スーツのジャケットと鞄を受け取り、寝室へ持っていく。鞄の中に見慣れない紙袋が僅かに見えたが、今は気にしている余裕はない。
(大丈夫……大丈夫……)
(19時、あと1時間程で和樹が帰ってくる時間だ)
今日、花火屋から受け取ってきた紙袋が、台所の隅の玉ねぎが、置いてあるボックスの横に見えないように隠してある。
我が家は、極端にモノが少ない。神経質で嫉妬深い和樹は、帰宅するとすぐに、物の移動、場所を細かくチェックする。
台所は、日常的に使うため、和樹のチェックは緩い。だから紙袋は、台所に隠そうと亜由は決めていた。
いつもより、早く、ガチャリと玄関扉の開く音がして、亜由の身体が、大きくビクンと跳ねた。
「ただいま、亜由?」
「早かったのね、おかえりなさい」
亜由は、慌てて玄関へと駆けていく。
「手洗ってくるわ」
「うん、これ預かるね」
亜由は、最大限の笑顔を作って、洗面台へ向かう、和樹から、スーツのジャケットと鞄を受け取り、寝室へ持っていく。鞄の中に見慣れない紙袋が僅かに見えたが、今は気にしている余裕はない。
(大丈夫……大丈夫……)