「死体と一緒に、池から出てきたスマホです、本人2台所有してたみたいで。もう一台は鞄と一緒に散乱してたんですけど」

「これ、僕が預かるよ」

「私が鑑識から、特殊復元チームに渡しておきますけど?」

「僕が、依頼かけた方が、早くしてくれるからね。復元チームは忙しいからさ」

「訳に立たない後輩で、悪かったですね」

蓮野は、自身を睨む相川を、ニヤつきながら見下ろすと、タバコを取り出し、火をつけた。大きく吸い込み、白い煙を吐き出す。

「ちょっと、現場は禁煙ですよ!」 

きゅっと目を細めた相川を気に留めずに、蓮野は、ビニール袋に入った水浸しのスマホをポケットに入れると、再度ニコチンを深く吸い込む。

「天気いいな」 

空は、雲ひとつない青空が広がっている。ただ、その言葉とは、裏腹に蓮野の顔は何処か、曇って見えた。