目の前のビジョンには、文香と黒髪のあの子が映し出される。
『はい、蛍ちゃん、ホットミルク』
『有難う、文香ちゃん』
やがて、ホットミルクを飲み干した蛍は、ゆっくりと瞳を閉じる。
眠る黒髪の女と、文香の元へ男がやってくる。
『蛍、俺の事、本当に好きだって?』
『えぇ、大樹が好きなのに、この子清純だから、素直に言えないみたいよ』
『初めては大樹がいいって話してたわ』
『有難うな、文香には感謝しかない』
誰にも知られることのない秘密……。
誰にも知られちゃいけない。あの日、あの子を大樹に襲わせた、自分の罪が目の前に浮かんでは消える。
「何なの……これ……」
思わず口を覆う文香を、西川がニヤリと笑った。
「まだまだ、これからよ、秘密主義の波多野ちゃん」
花火は、隠された秘密をゆっくりと暴くようにビジョンを写し続けていく。
ビジョンには、大学の頃の文香と愛瑠が映し出されていた。
『アンタでしょ?大樹を、そそのかして、あんな事……』
『大樹が、あの女が好きだって言うから協力してあげたの……』
『アンタの為でしょ?大樹に振り向いて貰えないからって、あの子を襲わせるなんて、異常よ!』
『異常?それなら愛瑠のブラコンも異常だけどね。好きなんでしょ、大樹のこと、男として』
『ふざけないで!』
愛瑠は、文香を見つめながら、静かに言葉にした。