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『今日いつもの場所で18時』

西川の方から話があるなんて珍しい。それも18時といえば、確か退社時間だ。

章介は、個人携帯のショートメールを眺めながら溜息を吐き出した。どうせ、文香の話だ。

今から、またあの女をマネキンの視線を感じながら抱くのかと思うと、気が滅入る。
バックヤードに入りながら、昨日の文香との情事が思い出されてくる。

きめ細かい、真っ白な肌に、華奢な身体に反して大きめの胸。突き上げるたびに、可愛くなく声、そして家柄も間違いない。

「いい女だよな……」

誰にも聞こえない程度の声で、言葉にしてから、緩む口元を押さえた。

「そろそろ、潮時かもな」

昨日の文香の感じだと、自分との結婚も満更じゃなさそうだった。そろそろ西川を切ってもいいのかもしれない。

そもそも、納品の件も、部長だって、可愛い娘の頼み事は無下にはできないだろう。今より倍どころか、何倍の納品と他百貨店の上役との繋がりもできる。

マネキンの保管庫の前で、スラックスのスマホが震えた。

ーーーー『審査基準に到達しました』

章介は、口元を三日月に模して笑った。