キャッチコピーは、『花火が終わる時、隠された秘密の火花と共に命の灯火は消える。ただしあなたの欲望次第』

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「面白そう……」

結衣は、迷わず、矢印の下の問い合わせボタンをクリックした。

結局、その日の夜、裕介は、急患だというラインと共に、帰って来なかった。結衣は、すぐさま玲子にラインをいれた。

『裕介、また急患だからって帰ってこないの』

いつもは、すぐに帰ってくる玲子のラインも、朝まで未読のままだった。



翌日、裕介は何事もなかったかのように帰ってきた。

「おかえりなさい」

「ただいま」

「朝ご飯できてるよ」

「いや、先に風呂はいるわ」

裕介は、そのまま誰かの匂いを落とすかのようにお風呂場へ直行する。すれ違い様に、一つだけボタンの外された、ワイシャツの首元に赤い跡が見えた。

『首元とか。なんかその人の心ごと吸い取る吸血鬼になった気分で』

そんな玲子の、勝ち誇ったような笑顔が、脳裏を浮かべた。

裕介が、出勤してから、結衣はいつものように、洗い物と、洗濯、掃除をすませると、ノンカフェインのコーヒーを片手にダイニングテーブルの椅子に腰掛け、テレビをつける。

お昼のワイドショーは、人気芸能人同士の不倫話で、持ちきりだった。

結衣は、面白おかしく騒ぎ立てる芸能リポーターに、嫌悪の目を向けると、テレビの電源を、リモコンで消した。

コーヒーを片手に、パソコンを開くと、一件の新着メールが届いていた。

ーーーー件名、審査通過。

結衣は、送信名『花火屋』からのメールにざっと目を通すと、鞄を手に取り、玄関扉を後にした。