「……蛍さんを殺、害した、……志田、大樹は……捕まり……ました、か?」

千夏は、窓辺に視線を移すと、小さく溜息を吐いた。

「花灯から聞いたんだ……アイツがそこまでアンタに話してるとは驚きだな。志田大樹は、行方不明のままだよ。ただ、蛍を殺した新犯人は、志田大樹の妹だった。それが相川流唯だよ」

来未は大きく瞳を見開いた。

「……じゃあ、あな、たと、相川流唯を撃ったのが……花灯……?」

千夏が、ふっと寂しげに笑った。

「いや、撃ったのは、僕……、蛍の……妹の仇を討つ為だけに、生きてきたから……ま、全部手柄は花灯に持ってかれたけどね。花灯は、僕と相川の拳銃を持って、姿を消したよ……まるで燃え尽きた花火の煙みたいに、あとかたもなく」

「……花灯、は、どうして、私を……助けたの?」

少しだけ間があって、千夏は、スーツのジャケットの内ポケットから、茶封筒を取り出した。

宛名は、花灯の直筆で、『来未へ』と書いてある。

「どうぞ」