曇天から、雨が降り注ぎ、廃業したまま、長年ほったらかしにされている倉庫のトタン屋根は、所々吹き飛ばされて、無機質なコンクリの床には、水溜まりがあちこちできている。
ーーーーその日は、自身の誕生日だった。
蛍と駅で待ち合わせていたが、待ち合わせ場所にいくら経っても蛍が来ない。すぐに嫌な予感がした。
今まで一度たりとも、蛍は自分との約束の時間に遅れたことがなかったから。
そして、蛍のスマホのGPS情報を頼りに、あの倉庫へ向かった。
『蛍……』
ビジョンと共に、あの日の自身の声が聞こえてきて、蛍のすぐそばには、志田大樹が立っている。
大樹は、微動だにせず、ただ、血まみれの蛍を見下ろしている。
人形のようにぐったりとして、真っ赤に染まった腹部からは、夥しい血液が流れ出しており、もう呼吸をしていないのは明らかだった。
『あ……』
『警察だ……何、した』
大樹は、振り返り、千夏の警察手帳を見るなり、深く頭を下げた。
『……彼女の事が、好きで……彼女を……殺してしまいました』
ーーーーその日は、自身の誕生日だった。
蛍と駅で待ち合わせていたが、待ち合わせ場所にいくら経っても蛍が来ない。すぐに嫌な予感がした。
今まで一度たりとも、蛍は自分との約束の時間に遅れたことがなかったから。
そして、蛍のスマホのGPS情報を頼りに、あの倉庫へ向かった。
『蛍……』
ビジョンと共に、あの日の自身の声が聞こえてきて、蛍のすぐそばには、志田大樹が立っている。
大樹は、微動だにせず、ただ、血まみれの蛍を見下ろしている。
人形のようにぐったりとして、真っ赤に染まった腹部からは、夥しい血液が流れ出しており、もう呼吸をしていないのは明らかだった。
『あ……』
『警察だ……何、した』
大樹は、振り返り、千夏の警察手帳を見るなり、深く頭を下げた。
『……彼女の事が、好きで……彼女を……殺してしまいました』