『何だよ、僕は忙しいんだよ』

花灯は、テレビのニュースの音量をリモコンで操作しながら千夏に電話をかけた。

いつもなら1コールででない千夏が、珍しく1コールで電話に出たことに違和感を感じる。

「……千夏、ニュースでやってた古民家の焼死体、古林洋介で間違いないよな?」

『はいはい、たった今、現場に来たところ、その通りだよ、丸焦げで、どうせ死因分かんないけど、一酸化炭素中毒じゃない?』

面倒くさそうに千夏が、返事をした。

「千夏、古林を殺ったのは、志田愛瑠で間違いない。花火を渡した」

『そう』

「知ってたのか?……じゃあ」

花灯は唇を噛み締めた。

「次は……お前だろ」 

『何で僕?』

「分かってんだろっ!」

自分が声を荒げたのを多少は、驚いたのか、少しだけ間があってから、千夏は声を顰めた。